薬剤師になるには
医薬品と最も密接な関係にある薬剤師は、適切な情報を正確に伝える義務があり、医療の担い手として、重い責務を背負っています。
薬剤師は薬のプロとして、また医療従事者としての倫理観を持ち続けることが最も大切な条件で、患者を一人を人として捉え、専門家として問題を見つけ、考え、解決していく意欲が必要です。
医療人としての高い志と正確で新しい知識、情報や技能、社会情勢の変化に対応できる応用力を築くこと、また、チーム医療にあっては、観察力、洞察力、応用力の練磨はとても重要となっています。そして、患者に対しては、つねに謙虚で誠意ある対応を心がけなければならないが、ときには毅然とした態度も必要となることがあります。
在学中に身につけることは基礎的なことであるため、薬剤師になってからも業務に従事しながら、根気強く継続的に学び続ける向上心が必要です。
現場で働く薬剤師の最も代表的な仕事は「調剤」です。患者が服用する医薬品を薬学の専門家として扱うため、慎重かつ正確に行われなければなりません。つまり、間違いは許されないのです。
医薬品の調剤は細やかな作業であり、同じことの繰り返し作業でもあるため、継続した集中力、注意力も必要とされ、また、個々の患者にあわせて、薬の効果や服用方法をわかりやすく説明する「服薬指導」も重要な仕事であり、ここでは、患者とのコミュニケーション能力も要求されます。
薬剤師は医療人として知識、技術、さらに患者本位の実践的な行動という3要素のバランス感覚が必要でですが、言い換えると、「専門的な知識や技術をベースに、前向きに努力する気持ちをもち、言動すること」が要求されるといえるでしょう。
学び方
薬剤師になるためには、薬剤師国家試験に合格し、免許を取得することが必須です。この国家試験の受験資格は原則として、2006年4月入学生から、6年制学部・学科の薬学課程を卒業した人に限られるため、これに該当する大学に進学することが必要で、新4年制の薬系学部を卒業しても国家試験受験資格は得られないので注意が必要です。
薬学教育では、薬のプロとして高度な専門知識や技能のみならず、医療人としての豊かな人間性を育み、コミュニケーション能力や問題発見・解決能力にすぐれた研究者としての資質を兼ね備えた薬剤師の養成を重要視している。そのため、基礎薬学と臨床薬学の両面にわたってバランスのとれた教育を目指しています。
薬学教育を終了したときには、患者本位の適切な薬物療法の提供、服薬指導、医療安全対策、医薬品情報の提供など幅広い分野で医療の担い手として貢献でき、さらに、医療の現場で通用する実践力を身につけておかなければならないと思います。
薬学部の授業
6年間のカリキュラムは、大学によって組み方や内容に違いがあるのでその一例を紹介しましょう。
1年次・・・薬学を学ぶための基礎的な知識を習得し、語学を含め一般教養などを身につける。また、臨床現場を体験する「早期体験実習」を取り入れている。
2年次・・・ 専門分野を学び始める。各分野の実習を通し実践的な知識と技術を身につける。コミュニケーション分野の履修も始まり、医療人として人間性の向上にも努める。
3年次・・・薬剤師としての基礎的な能力開発に努める。処方箋による調剤や製剤の手技や薬物治療など、臨床現場の実際を学び始める。
4年次・・・臨床現場で求められる専門的な能力を身につけ、医療従事者としてのコミュニケーションのあり方を学ぶ。学内において実務事前実習が行われ、臨床現場での実務実習を円滑に行うための基本を学ぶ。4年次末には共用試験が行われ、これまでに身につけた能力が実務実習を始めるに十分かが評価される。
5年次・・・共用試験に合格した学生は、学外の病院・薬局それぞれ11週間、合計22週間にわたり実務自習に望む。また、研究ユニットに所属し卒業研究にもとりかかる。
6年次・・・卒業研究をまとめ、国家試験の本格的な準備に入る。学内では薬剤師国家試験のための総合的な講義も行われる。同時に、臨床現場の即戦力になるため、より専門的、応用的な薬学を学び、薬剤師としての知識・技術・態度を培う。
薬学教育6年制の導入は臨床現場の充実が狙いであるため、薬学生全員が実務事前実習を5週間と、その後臨床現場としての病院実習・薬局実習を各11週間行うが、これが薬剤師国家試験受験資格の必須条件となっています。
薬学生が臨床現場で実務実習を行うにあたり問題になるのが、薬剤師免許を持っていない身分で薬剤師業務に携わるということです。薬剤師法第19条で「薬剤師でない者は、販売または授与の目的で調剤してはならない」と規定されている。この問題を解決するため、医歯学共用試験の概念が薬学教育にも取り入れられ、共用試験が行われるようになったのです。
共用試験は、全国共通であり「知識および問題解決能力を評価する客観試験」と「態度・技能を評価する客観的臨床能力試験」の二つがあり、学生は実務事前実習を履修し、この二つの共用試験に合格しなければ、5年次に行われる病院や薬局での実務実習へ参加することはできない。
実務実習の意義は、薬剤師になるために必要な知識・技能・態度を身につけることである。さらに学生が実際に患者や医療スタッフと接し、人として共感しあうことが医療人としての大切な第一歩だと考えられています。